裕子の小説置場☆

千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……

第770話

8月31

「え? やだ、やだよぅ、ぼく、おかあさんちの子がいいよう!」
こどもは今にも泣き出しそうな声で言った。
「おかあさんちの子は、長芋長芋ってしつこく言ったりしません!」
母親はぴしゃりと叱りつけた。

第769話

8月31

「ほんとだってばぁ、この前ひろしくんちに行ったら、おっきな冷蔵庫がふたつあったもん!」
「あーもう、しつこいわね、この子は――」
母親はだんだんイライラした口調になってきた。
「そんなに長芋が食べたいなら、ひろしくんちのこどもになればいいでしょ!?」

第768話

8月31

と、陳列棚を挟んだ反対側から、さきほどのこどもの声が聞こえてきた。
「だってさぁ、ひろしくんち、毎日長芋だって言ってたよ? 長芋専用の冷蔵庫もあるんだって!」
「そんな、わざわざ長芋専用の冷蔵庫を買ううちなんて、あるわけないでしょ!? 見得を張ってるだけよ、ひろしくんは」

第767話

8月30

ほんとは長ネギも買いたいんだけど――
明日からまた旅に出るし、残して腐らせるのも、もったいないわ。
代わりに、にんにくを刻んで入れよう。

第766話

8月29

これからごはんを炊くの面倒だわ――
即席めんでいっか――
乾麺の並んでいるコーナーに行き、サッポロ一番味噌ラーメンを2袋カゴに入れた。

第765話

8月29

もやしの袋を手に取り、買い物カゴに入れ、精肉コーナーへと向かう。
いちばんグラム表示の少ない豚バラ肉をカゴに入れた。
ああもう、おなかペコペコ――

第764話

8月29

大粒の青森産にんにく――これよ――
まるまるとしたにんにくを一房手に取ると、店の入り口へ買い物カゴを取りに戻った。
あとは、お昼と晩の食材も買わなきゃ。

第763話

8月29

こどもは半ベソをかきながら、ぶつぶつとなにかをつぶやいていたが、母親は気にせず腕を掴んだまま、精肉コーナーへと引きずっていった。
私は野菜の並んでいる棚をざっと見渡すと、目当ての品を見つけた。

第762話

8月28

「長芋は昨日買ってあげたばかりでしょ!? 今日は我慢しなさい!」
あ、なんだ、昨日買ってもらったのか。
母親はこどもの手を掴むと、むりやり起き上がらせた。

第761話

8月28

母親らしき女性が、こどもを見下ろし叱りつけている。
「だって、98円だよ!? ねぇ、買ってよ! 買ってよぉ!」
なおもこどもは駄々をこねつづけている。

第760話

8月28

「やだやだ! 長芋買ってぇ! 長芋買ってよぉ!」
見ると、小学校低学年くらいの男の子が、床に転がり足をばたつかせている。
「ったく、この子は! 長芋長芋ってうるさいわねぇ!」

第759話

8月28

イカゲソ、ピーナッ子、そのほかに顔見知りはだれもいないようだ。
顔からリュックサックを離して手に提げると、ドアを開けて店に入った。
と同時に、こどもの泣きわめく声が耳に飛び込んできた。

第758話

8月28

数分としないうちに、目的のコンビニに着いた。
店先ではワゴン一杯に夏野菜も売られている。
私はリックサックを下にずらして目だけ出し、ウィンドウ越しに店の中の様子をうかがった。

第757話

8月26

顔に当てたリュックサックの隙間から、進行方向とは逆側をうかがうと、自転車にまたがり手を振りつづけるピーナッ子が見えた。
ほんと単純なヤツよね。
いつも勝手に都合よく解釈し、納得してくれる――

第756話

8月26

私も疑われないよう、さも親しみを込めた声で返した。
「ウトガリア、ウトガリア、ワイナクタキキモエコ、トドニウモ!」
「あなた、ウトガリアって国から来たモエコって言うの? トドに会いたいのね。 だったら動物園に行けば、きっと会えるわ!」

第755話

8月26

「ジャ、ソォイウコトデ……」
私は空いているほうの手を軽く挙げ挨拶すると、横歩きの足を速めた。
「次は気をつけるのよ! 早く日本の交通ルールに慣れなさいね!」
背後でピーナッ子の叫ぶ声が聞こえた。

第754話

8月24

「オォ! ゴォメンナァサァイ! ワァタシ、エイゴォ、シャベレマァセェン!」
とっさに私は、カタコトの日本語で返事をした。
「I see. しかたないわね……」
ピーナッ子が答えた。
どうやら通じたようだ。

第753話

8月24

「Ah… Do you speak English?」
え!? なに? 英語? ピーナッ子、英語しゃべれるの!?
な、なまいきね! でも、私、英語しゃべれないし……

第752話

8月24

よし、このまま得体の知れない外国人のフリをして立ち去ろう――
私は横歩きで、じりじりとその場から移動し始めた。
――と、ピーナッ子が口を開いた。

第751話

8月23

「コッナーピ! コッナーピ! イーヤ! イーヤ!」
私は侮蔑した口調でわめきつづけた。
ピーナッ子は黙り込んだままだ。

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